生インタビュー第二弾!キャストが語る現場の臨場感や撮影秘話公開

キーズスタジオ東京の自主制作映画最新作「死にたい。でも、死ねない」で重要な役どころを担った、二人の若き俳優にインタビューを行いました。
初めての映画撮影で感じたことや、映画にまつわるこれまでの経験など、ひとつの作品に対する熱い思いをじっくりと語っていただきました。
1.キャスト紹介 キーズスタジオ東京との出会い
今回インタビューを行ったのは、現役のキーズスタジオ東京入所生のお二人です。
■本多 ロドリゴ ひでき
声優養成所から、方向転換して俳優を志し、舞台作品で経験を積んだ後、キーズスタジオ東京に入所。
〈映画での役柄〉
「ある事件」の被害者3人のうちの1人、光(ひかる)役。
3人の中でも、唯一、“普通”に暮らしながら、引きこもりの弟の面倒を見て生計を立てている。
「ある事件」では生死をさまよう。
■聖香
幼い頃から俳優を目指し、様々なチャレンジを続けている。
現在は、キーズスタジオ東京にて俳優業を学ぶ傍ら、英語ミュージカルの学生団体で主催者の一人として活動している。
〈映画での役柄〉
「ある事件」の犯人の女役。
事件を起こさなければ、引きこもったままだった可能性もある、ある意味で被害者的な一面もある人物。
―まず、自己紹介として、お二人のキーズスタジオ東京に入ったきっかけを教えてください。
本多:
3年ほど通っていた声優の養成所で舞台の授業を受け、舞台俳優に興味が沸き、役者に転向しました。
キーズスタジオ東京へは、僕が出演していた舞台を代表の浅野寛介さんがたまたま見に来られて、その際に声をかけてもらったことがきっかけで入所しました。
役者を続けようか悩んでいた時期でしたが、縁を感じて、「改めて人生をかけてやってみよう!」と思い、飛び込みました。
聖香:
役者になりたいと思ったのは小学生の頃です。
ディズニーチャンネルを観て、「ハリウッドスターになりたい」と思っていました。
小学生から養成所に通い、進学では英語を勉強できるよう日本にあるアメリカの大学を選びました。
しかし、大学進学後は一旦役者から離れ、ワーキングホリデーに行ったり、環境問題に取り組んだりしていた時期がありました。
他の活動に取り組んだことで、やっぱり自分には「表現すること」が必要だと改めて認識し、キーズスタジオ東京への入所と俳優活動の再開を決めました。
2.キャストインタビュー 映画撮影で感じたこと
―初めに、今回の映画での役柄は、どんな人物か教えて下さい。
本多:
光は、僕から見て「ただただシンプルにいいやつだな」というお兄ちゃんです。
弟のシンを、心の底から愛していて、自分の人生を捧げています。
シンは、学生時代の酷いいじめの経験から、引きこもりが続き、一度自殺未遂をします。
光は、その場を目の当たりにしてシンを助けたものの、いつまた自殺しないか常に気にしながら生きている、という役柄です。
自分には、光のように誰かに自分の人生を捧げて生きるような経験がなかったので、少しでも自分との共通点を見つけて、気持ちを持っていくようにしていました。
聖香:
私が演じたのは、名前の設定はありませんが、ストーリーのキーマンとなる女性でした。
いわゆる無差別殺人のような事件を起こす役ですが、誰かに殺意があるというより、何が何だかわかっていない精神状態の人物です。
彼女が事件を起こしてしまった理由は映画内では描かれないので、気持ちを想像しながら演じました。
溜まってしまったフラストレーションが行き場をなくして、何かにぶつけないと本人が壊れてしまうくらい、追い詰められた役です。
当然、無差別に人を傷つける行動は肯定できないけれど、彼女を演じたことによって、事件を起こしてしまう側の心理も考えられるようになりました。
―撮影の中で、大変だったことや印象的だったことはどんなことですか。
本多:
舞台作品と映像作品は全く違うもので、何から何まですべて初めての経験に感じました。
僕の役は、スケジュール的にほとんど毎日現場にいたのですが、毎日ずっと緊張していました。
とにかくがむしゃらに取り組みました。
印象的だったのは、弟の自殺を助ける場面です。
その時は、本当にまさに死のうとしている人が目の前にいるような、衝動的な焦りの感情にかられて、そのままを演じることができました。
演出側の配慮で、あえてリハーサルをせずに、一発本番で撮影してもらったせいかもしれません。
自分でも初めての感情で、印象的な体験でした。
聖香:
私は、まず撮影のスピード感に驚きました。
舞台作品だと本番に向けて何度も稽古を詰めていくことが当たり前でしたが、映画は、その場でリハーサルをして、「はい、本番!」となることが新鮮でした。
カメラの画角を考慮した動きを求められるところや、声の出し方や表情を繊細に演じるところも、舞台作品とは全然違います。
映像作品ならではの魅力を感じたので、今後も挑戦していきたいです。
―映画のような「死にたい。でも、死ねない」という気持ちは、実生活で感じたことはありましたか。
本多:
映画の主人公達と比較すると小さなことかもしれませんが、はじめてできた彼女に振られたときは自暴自棄になりましたね。
元々お酒は弱いとわかっていたのに、もう死んでもいいやと思って浴びるほど飲みました。
目が覚めて、鏡に映ったひどい顔を見て、「死のうとしても何もいいことはないな」と我に返りました。
それ以降は、嫌なことがあっても、「死んでも仕方がない。頑張って生きた方が良い」と割り切れるようになって、考え方がポジティブになりました。
今では、笑い話ですね。
聖香:
私は、中学生の頃に「死にたい」と考えていた経験があります。
両親の喧嘩がひどく、毎晩、私と弟が寝た後もずっと怒鳴り声が聞こえてくる時期は、生きていることが辛いと感じていました。
父に対する憤りや、母の辛そうな姿を見ても何もできない自分がもどかしくて、「私が死んだら母の苦しみが解決するだろうか」と考えていました。
今では、その経験があったからこそ今の自分があるので、両親に感謝しています。
他の人よりも、辛い思いをしている人の気持ちに寄り添えることは誇らしいです。
その頃の感情は表現者としてもプラスになっていると考えています。
―お二人の【人生のターニングポイント】があれば教えてください。
本多:
2年ほど前、初めてブラジルに行ったときです。
僕は血統としては日本人ですが、国籍はブラジルです。
戦争から逃れるためにブラジルへ渡った日本人同士が現地で出会って、生まれたのが僕の両親です。
役者を辞めて一般企業に就職しようとしていた時期に、ちょうど両親が誘ってくれて、大人になって初めて祖父母に会いました。
祖父母は、26年越しに会う僕に、毎日会っていたかのように優しかったです。
当時、数か月かけて海を渡った話を教えてもらいました。
その時に、自分は現代の恵まれた環境にいるのに、こんなに早く夢をあきらめて良いのだろうか?と思い直しました。
改めて夢に向き合い、その延長に今の自分がいます。
聖香:
私のターニングポイントは、ドイツでワーキングホリデーをしていた時だと思います。
2か月程ホームステイしていた先が、石膏像のアーティストをしている2児のシングルマザーの女性の家でした。
アーティストであり母である彼女は、とても頼もしくて、中学生の頃の辛い過去をすべて話しました。
彼女は真剣に話を聞いてくれた後、目を見て、
“SEIKA,I love you!”
“Beautiful!”
と言ってくれたのです。
初めて目を見て「愛している」と言われて、ありのままの自分を肯定してもらえたことは、衝撃的でした。
それまで、“もっとかわいくならなきゃ”“もっとすごくならなきゃ”と焦っていたのは、自分で自分を認められていなかったせいだと気付きました。
自分をありのまま愛せるようになったきっかけです。
3.映画「死にたい。でも、死ねない」公開情報
―最後に、お二人にとって、映画に「死にたい。でも、死ねない」はどんな作品ですか。
本多:
人間関係について、深く考えさせられる作品です。
人を傷つけるのは人であり、人を助けるのも人だと、考えるようになりました。
実際に辛い思いをしている人は、この作品を見て、「生きてさえいれば、助けてくれる人が現れる」「生きてさえいれば未来を変えられる」と希望をもってほしい。
幸せに過ごしている人でも、知らず知らずに誰かを傷つけているかもしれない、手を差し伸べれば助けられる誰かがいるかもしれないことを、感じ取ってほしいと思います。
聖香:
私はこの作品を通して「もっと優しい人になりたい」と思いました。
登場人物たちのように追い詰められてしまう人を、助けられるような人になりたいです。
特に、20代の方に観てほしいと思います。
20代は、社会に出て、急激に子どもから大人になる責任感が求められる世代だと思っています。
生きるのが辛くなってしまう人もいるかもしれません。
この作品を通じて、「結局、死ななければ大丈夫」「生きていればいいことがある」ということが伝えたいです。
映画「死にたい。でも、死ねない」は、2021年9月22日(水)に、ユーロライブにて上映予定です。
ご興味がある方は、キーズスタジオ東京までお問い合わせください。
⇒キーズスタジオ東京へのお問い合わせは【こちら】
4.俳優という選択肢~人生のターニングポイント~
キーズスタジオ東京には、様々な背景をもちながら、同じ目標を志す仲間が集まっています。
時に1つの役を勝ち取るためにしのぎを削り、支えあい、日々切磋琢磨している同志です。
今回インタビューに答えてくれた二人からは、過去の深い経験を話しながらも、前向きな達成感や、目の輝きを感じました。
キーズスタジオ東京が本気で映画撮影をするには、理由があります。
「100回のレッスンより1回の現場」の考えのもと、映画制作の生の現場での体感が、練習を繰り返しているだけでは得られない、大きな成長の機会になると確信しています。
キーズスタジオ東京の自主制作映画最新作「死にたい。でも、死ねない」にかける若き俳優たちのアツい想いとリアルな情熱を、是非劇場でご体感ください!
⇒キーズスタジオ東京へのお問い合わせは【こちら】
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