映画監督生インタビュー|キーズスタジオ東京の映画づくりにかける想い

キーズスタジオ東京の自主制作映画最新作「死にたい。でも、死ねない」で監督を務めた、鄭光誠(チョン・ガンソン)氏にインタビューしました。
キーズスタジオ東京の役者たちとの制作現場でのエピソードや、鄭氏自身の今後の展望を、本音で語ってもらいました。
監督・スタッフ・キーズスタジオ東京の、映画にかける熱い想いをお伝えします。
1.キーズスタジオ東京で本気の映画づくり
キーズスタジオ東京では、年に一度、本格的な映画制作を行っています。
キーズスタジオ東京の入所メンバーは、配役オーディションを経て、必ず出演できます。
練習のための映画制作ではなく、映画館で上映する本物の映画です。
撮影スタッフにもこだわり、特に監督選びには力を入れています。
今回は、最新作で監督と脚本を務めた鄭光誠氏にインタビューしました。
プロから見た、キーズスタジオ東京の映画制作現場でのエピソードを聞いてみましょう。
■鄭光誠(チョン・ガンソン)
舞台作品を主とする脚本家・演出家。
脚本家・羽原大介(フラガール、マッサンなど)を師に持ち、震災や差別問題、自殺問題など史実をもとにした 社会派の舞台作品の脚本・演出を手掛ける。昨今では主に2.5次元舞台の演出をしている。
2011年9月、 出産をテーマにした「親孝行~こんにちは、母さん~」が、 第23回池袋演劇祭にて【としまテレビ賞】を受賞。
2.映画監督 鄭氏 実録インタビュー
――初めに、このプロジェクトに参加したきっかけを教えてください。
過去に、長編・中編映画を自主で作った経験はありましたが、舞台演出活動が中心となっている中、映画を作りたいという気持ちは常々ありました。
声を掛けて頂いた時は、ちょうど40歳を迎える年であり、新たな境地というか、「やっぱり映画を作りたい」「自分らしい映画が撮りたい」という想いが強くなってきていたタイミングでした。
代表の浅野寛典さんは、昔一緒に仕事をしたことがあり、お互いに「映画が好き」という共通項があることも分かっていたので、彼なら、僕らしさを尊重してくれる、いい映画制作ができると思い、参加しました。
――スタジオの自主制作映画ということには、どう感じましたか。
「自主制作映画」は、自分が好きなように表現できる幅が大きいので、ワクワクしました。
経験の少ない役者さん達というところも、その分、若さや熱意があるので、その熱を映画にうまく生かせたかなと。
――今回の映画「死にたい。でも、死ねない」は、かなりインパクトのあるタイトルですね。なぜこのテーマ・タイトルにされたのでしょうか。
以前、僕自身が、過密なスケジュールでやっていて「もう死んだ方が楽だな、これは」「けど、ここで死んだら、仕事的にもまずいし、死ねないな」と考えたことがありました。
最近の社会では、コロナ禍ということもあり、頑張りすぎてしまう人や自殺してしまう人もいます。
中には、「死にたい程辛いけど、でも現実死ねない」という人もいると思います。
その時に、以前の「死んだ方が楽だな。でも、死ねないな」という感覚が頭をよぎり、タイトルにしました。
そういうリアルからの心模様を描くことで、何か伝えられるものがあるのではないかと思いました。
「死にたい。でも、死ねない」という人たちは、世の中の見えづらい陰(いん)の部分に存在していますが、それを描くことで逆に、見る側に「生きる力」として伝わるのでは、と。
――気になるテーマですね。どんなストーリーでしょうか。
3人の主人公が、家族関係や職場での嫌がらせ、いじめなどそれぞれ人間関係のストレスを抱えていて、死にたいと感じながらも、逆に自分自身が他人に嫌がらせをしてしまったり、引きこもってしまったり、良くない方向で発散しながら、なんとか生きている。
その3人が、ある共通の事件をきっかけに、人生観を見つめ直していく、というストーリーです。
――配役オーディションの際は、どのようなポイントを見ていましたか。
どこにでもいる誰かに演じてもらいたく、お芝居が上手という点よりも、「人間味」「リアリティー」「生命力を感じられるか」を重視しました。
あと、僕はオーディションを見ると、ついつい途中で演技指導をしてしまうのですが、その指導に臨機応変な対応をしてくれる役者さんは高評価でした。
――キーズスタジオ東京のメンバーはいかがでしたか。
今は未熟でも、これからどう羽ばたくか、という期待値が高いですね。
映画現場を経験することで、何人か目の色が変わった子や、言ったことへの反応が明らかに良くなった子もいて、今後が楽しみです。
――映画「死にたい。でも、死ねない」の制作時のこだわりを教えてください。
役者の表情、特に目の表現にはこだわりました。
主人公は言葉数が少ない役だったこともあり、台詞よりも、苦悩・疲弊・ストレスみたいなものを表情で表現してもらいました。
印象的だったのは、丸一日暗い室内で引きこもりのシーンを撮影していた日があって、後半は、スタッフも含めて良くも悪くも「陰気」な雰囲気になってしまったのですが、それがかえってリアルな世界観の表現に繋がったかなと。
その日は、撮影後に吸った外の空気がおいしく感じましたね笑
あと実は、撮影後半で、急遽思いついたシーンがあり、それをラストに組み込んでいます。
見る人、それぞれで感じて欲しいエンディングにしたかったのが発端で、その場のスタッフで多数決を取り、面白いねとなって、撮影しました。
ラストシーンは、ぜひ劇場でお確かめください。
――撮影で大変だったことはどんなことですか。
役者さんは、若くて優しい子が多くて、登場人物達のような「死にたい」程の追い込まれた経験がない子たちです。
経験したことがない複雑な感情を作って表現してもらうことが難しかったです。
なので、僕からは具体的な表現のパターンをいくつか提示して、その子自身がフィットする演技を役者自身に選んでもらうなど、リアリティーにこだわりました。
――どんな人に見てもらいたいと考えていますか。
老若男女、誰にでも見てもらいたいテーマだと思っています。
死にたいくらいしんどい思いをしている人達はもちろん、本当は彼らを助けることができる普通に生活をしている側の人達にも、知って欲しい世界観です。
――最後に、鄭さんの今後の展望を教えてください。
今後の目標は、カンヌ映画祭で賞を取ること!
名のある映画祭に行ったり、シェイクスピアのように語り継がれる作品を完成させたり、とにかく「残る」ものを作りたいです。
舞台は花火のようにその場でその瞬間がリアルタイムで見た人の心に強く残り、映画は映像としてずっと残るところが魅力です。
追いかけるものは多いですが、もっともっと映画の世界にどっぷり浸かって、今の自分にはできない技術的な部分はプロと協力しながら、良い作品を作り込んでいきたいですね。
実は、来年から正式に始めるプロジェクトに向けて、丁度準備をしているところです。
30代以降、映画監督として成功したい気持ちはどんどん強くなっています。
映画監督として、「後世に残るもの」を作ることが、今の夢です。
僕はそうなるまでは「死ねない」ですね。
3.映画「死にたい。でも、死ねない」公開情報
映画「死にたい。でも、死ねない」は、2021年9月22日(水)に、ユーロライブにて上映予定です。
ご興味がある方は、劇場、もしくはキーズスタジオ東京までお問い合わせください。
⇒キーズスタジオ東京へのお問い合わせは【こちら】
4.夢を掴むチャンスがある場所
キーズスタジオ東京が、本気で映画制作をするには、理由があります。
「100回のレッスンより1回の現場」の考えのもと、映画制作の生の現場での体感が、練習を繰り返しているだけでは得られない、大きな成長の機会になると確信しています。
また、映画への出演経験は、その後オーディションを受ける際に「経歴」として話すことができます。
そのため、本気で取り組んでくれるプロの監督・スタッフを厳選し、本格的な映画を制作しています。
キーズスタジオ東京は、自身の可能性と未来を信じて日々努力している若者に、夢を掴んでもらうための場所です。
同じように夢や想いを持った仲間と共に、どこまでもお互いを高め合ってほしいと思っています。
仲間がいるから、乗り得られる壁があり、分かち合える喜びがあります。
ぜひキーズスタジオ東京で、一緒に夢を叶えましょう!
大きな夢を持つあなたの入所をお待ちしています。
⇒キーズスタジオ東京への参加は【こちら】
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